三船のブログ

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『図書館の魔女』本文穴埋めクイズ

『図書館の魔女』愛読者の方向け、細部の言い回しを当てるクイズです。【  】内に本来入っていた言葉を考えてみてください。全5問。2問目以外は結構難しいと思います。

 

第1問:第2章(しゅったつのときはちかづく)より

往来する牛車の車輪の軋み、【  】、物売りの怪しげな口上、街頭での声高な商談、誰かから逃げ惑っている少年たちの喚声と、それを追いかけて響く叱責の金切り声、町のざわめきは渾然となってうねるように渦巻く。

ヒント:漢字3文字だけど読みは2音

 

第2問:第9章(うえにみつくびがまっています)より

――キリン、ミツクビを有能な官吏かなにかと思うな。彼は政治家でも軍師でもないよ。あれは【  】だ。

 

第3問:第14章(あたらしいしゅわをつくる)より

また今日の用箋の文字はマツリカにしては珍しく、いつもの流れるような草書体ではなくて古地図や【  】の書物に使われているような、一文字ひともじが独立した書体で記されてあった。

ヒント:○○学

 

第4問:第32章(ぎしょをめぐるぶんけんがくこうぎ)より

――本物の智慧、本物の技術、そこにこそ本物の生きた言葉が蓄積し、本当の魔術はこうしたところに実現するだろう。そしてそのための試行錯誤を書き留めた本物の書物が著され、これは大事に受け継がれていくだろう。曖昧なところなどない、本物の奥義の書物が。その時に誰がこの『緑玉板』のことを覚えているだろうか。誰が『緑玉板』のことを怖れているだろうか。誰が『緑玉板』の戯言に注意を払うだろうか。かつてこうした戯言が一世を風靡したという「滑稽な歴史」を辿る【  】だけが、この「錬金術の奥義の書」のことを覚えていることになるだろう。

ヒント:漢字3文字

 

第5問:第41章(しんせつのやまみちにこっきょうをこえ)より

「いくら暗号めかしてあっても、あんな平文で送ってくる意味がないだろう? どうしても私だけに伝えたいことがあるなら、私とハルカゼしか読めない文字なんていくらだって思い付くだろうに……二人で解読中の【  】を使っちゃうとかさ」

ヒント:きっと世界史で見たことのある言葉です。鉤括弧が使われていますが、これはキリヒトが通訳しているからです。

 

以下、解答です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1問:第2章(しゅったつのときはちかづく)より

往来する牛車の車輪の軋み、【香具師】、物売りの怪しげな口上、街頭での声高な商談、誰かから逃げ惑っている少年たちの喚声と、それを追いかけて響く叱責の金切り声、町のざわめきは渾然となってうねるように渦巻く。

「やし」と読みます。第32章での使われ方の方が印象的かもしれません(「同じことを一行のうちに四回も書いていやがって、こんな恥知らずな叙事詩があるものか、香具師の口上じゃあるまいし」)。

 

第2問:第9章(うえにみつくびがまっています)より

――キリン、ミツクビを有能な官吏かなにかと思うな。彼は政治家でも軍師でもないよ。あれは【魔術師】だ。

唯一良心的な難易度の問題

 

第3問:第14章(あたらしいしゅわをつくる)より

また今日の用箋の文字はマツリカにしては珍しく、いつもの流れるような草書体ではなくて古地図や【代数学】の書物に使われているような、一文字ひともじが独立した書体で記されてあった。

代数学では具体的な数値よりも a,b,x,y などの文字がよく使われる(参考(?):環上の加群の二通りの定義と同値性 - 三船のブログ)ので、この例えは上手いですね。古地図の方はあまりピンと来ませんが。元々、「数」字の「代」わりに文字を使うから代数学と名付けられたようです。

ちなみに『図書館の魔女』の世界では「これは東方で発達した解析数学の一変種の応用で、解析に明るいそちらのキリンが立式しました」(第40章)、「三角法が東方に独立して発達していた可能性が見えてきた」(第31章)、「東方の治水と土木の専門家を何人か招聘しているんだよ」(第15章)などの発言から、東方は理論・実学ともに古くから高水準にある地のようです。もしかしてこれにも元ネタがあるのかも。

 

第4問:第32章(ぎしょをめぐるぶんけんがくこうぎ)より

――本物の智慧、本物の技術、そこにこそ本物の生きた言葉が蓄積し、本当の魔術はこうしたところに実現するだろう。そしてそのための試行錯誤を書き留めた本物の書物が著され、これは大事に受け継がれていくだろう。曖昧なところなどない、本物の奥義の書物が。その時に誰がこの『緑玉板』のことを覚えているだろうか。誰が『緑玉板』のことを怖れているだろうか。誰が『緑玉板』の戯言に注意を払うだろうか。かつてこうした戯言が一世を風靡したという「滑稽な歴史」を辿る【好事家】だけが、この「錬金術の奥義の書」のことを覚えていることになるだろう。

「こうずか」と読みます。物好きという意味です。

 

第5問:第41章(しんせつのやまみちにこっきょうをこえ)より

「いくら暗号めかしてあっても、あんな平文で送ってくる意味がないだろう? どうしても私だけに伝えたいことがあるなら、私とハルカゼしか読めない文字なんていくらだって思い付くだろうに……二人で解読中の【線文字】を使っちゃうとかさ」

線文字は現実でも使われている語です。

線文字A:クレタ文明において使われていた文字。未解読。クレタ文明はギリシアに南下してきたアカイア人に滅ぼされたとされる。

線文字Bクレタ文明の後にギリシア本土に栄えたミケーネ文明において使われていた文字。ヴェントリス(英)が解読。(参考:『荒巻の新世界史の見取り図 上』)

ところで「私とハルカゼしか読めない文字なんていくらだって思い付く」ってフレーズ強すぎませんかね・・・

 

以上です。どれができてどれができなかった等の反応頂けると嬉しいです。