三船のブログ

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Memento mori 有名な言葉で学ぶラテン語文法

Mementō morī.(メメントー モリー

死ぬのだということを覚えていなさい。

 

ラテン語の命令法には第一と第二がある。

第一は直ちになされるべき命令を、第二は将来にわたってなされるべき命令を表す。

mementō は単数に対する命令法第二。ちなみに複数人に対して「覚えていなさい」と言うときは mementōte となる。

(実は mementō の元となる動詞には現在形が存在せず、完了形 meminī を現在の意味「覚えている」として用いる。そして meminī の命令法は第二しかない。)

直説法能動態完了
1 meminī
2 meministī
3 meminit
1 meminimus
2 meministis
3 meminērunt

morī は能相欠如動詞(形式受動相) morior(死ぬ)の不定法で、「死ぬこと」を表す。

直説法現在
1 morior
2 moreris
3 moritur
1 morimur
2 moriminī
3 moriuntur

今回の文で mementō を受けているのは不定法のみだが、meminī は間に名詞の対格を入れて「~が~するのだということを覚えている」という意味にもできる。

Mementō Sōcratem morī.

ソークラテースは死ぬのだということを覚えていなさい。

 

参考:

ラテン語初歩 改訂版』田中利光, 岩波書店

『LEXICON LATINO-JAPONICUM Editio Emendata 羅和辞典<改訂版>』水谷智洋, 研究社